とんぼの中に

ベンチに止まるとんぼの両羽を摘むと、羽ばたこうとする勢いで体が上下に暴れている。
ゆっくりと左右に引っ張ると、ぷちりと背中が開く。
黄色味がかった白い筋から、うっすらと透明な体液を滲ませて、まっすぐ縦に割けていく。
ぶちりと、お腹の殻が千切れると、ころりと頭が落ちる。
ぶるぶると震える両手のとんぼを置くと、羽をばたつかせ、足をぴくぴくと動かしながら、それぞれ体をベンチに擦り付けている。
一匹、また一匹と割いていく──。
跡でいっぱいのベンチの上で、とんぼは秋風に揺れている。

2026-05-22